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不穏の書

-Fernando Pessoa-
Livro do Desassossego, 2013, lambda print

それは、絶対に存在しない書の影あるいはコピーに過ぎない

ロベール・ブレション(澤田直訳)

ポルトガルの詩人フェルナンド・ペソア(1888-1935)は、たった1冊の詩集と多くの断章を残して

この世を去った。
死後発見されたそれら何百もの断章は、他者の手によって自由自在に編集され、順番を入れ替えられ、何十もの言語に訳され、書物の頁に印刷されるようになった。
「絶対に存在しない書」とは、だからなにも大げさな言い回しではなくあるひとつの歴史の事実としてある。書物のかたちに「閉じる」ことを拒んだ彼が「不/可能性」としてひらいたその地平に、彼の言葉と所作がすけて「影」の側からちかづけたらいい。