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BURIAN
-Prehistoric Animals-

 

BURIAN  -Prehistoric Animals-, 2012, video (12:10)

だから私は不可能な景色が好きだ。けっして行くことのない荒涼とした高原の無限の広がりが好きだ。過ぎ去った太古の時代は、私がそこにいることなど想定すらできないから、ほんとうに素晴らしい。実在しないものを夢見るとき私は眠り、実在しそうなものを夢見るとき私は目覚める。

フェルナンド・ペソア(『不穏の書』澤田直訳)

 太古の世界を描き出したチェコ出身の画家ズデニェク・ブリアン(Zdeněk Burian / 1905-1981)。当時最新の研究に基づいて描かれた彼の美しい恐竜たちは多くの図鑑に掲載され、ひとつの時代の恐竜史観とでもいうべきものをつくりあげた。想像力をかきたてながら頁をめくった人々の手は、勇み足で太古の大地へと分け入っていく冒険者のそれのようだったに違いない。しかし現代の進歩した恐竜研究の見地からみれば、ブリアンが信じ、思いを馳せたこれら数々の恐竜たちの姿は、多くの誤解と偽りによって形作られた虚構の産物にすぎない。ある短い期間、特定の時代に人々から信仰された偽りの過去。

ただ彼の図鑑がとじこめた恐竜たちは、いまだに不思議な輝きを放っている。それは「あり得なかった時間」が持続し、ただ単純な「事実」とはもはや関係のないものへと昇華されたからだろう。図鑑には、むしろ今だからこそ彼の描きたかった「大気」とでもいうべきものが不可分なく溢れ出ているように思える。事実という単純なおもりを解いて、ただそこに「ある」ことへと志向する。わたしは彼の開いたその世界を、そこに流れているものを、持続しているものをすくいとり、接近したいのだ。

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BURIAN  -Prehistoric Animals-, short version(4:04)

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